老親のサポートに果たす家族の役割
誤嚥性肺炎からは回復したものの、以前のようにサービス付き高齢者住宅での一人暮らしが難しくなった父。
その父の次の生活の場所を探して引っ越し、生活が落ち着くまでのサポートを果たして一昨日自宅へ戻りました。
皆さんは、介護という言葉からどんな行為を連想されるでしょうか?
食事、排泄、更衣、移動のお手伝いをしたり、話し相手になったり。
主に身体的、精神的なケアを思い浮かべられるのではないでしょうか。
ところが、老いた親のサポートには、それだけではないもろもろのことが含まれることを実感しました。
具体的には、入院、次の入所先探し、引っ越し、退院、入所という一連の事柄に付随する調整。それに伴う相手方との報告・連絡・相談。そして諸手続き。
入院中には、治療の選択、あるいは退院カンファレンスへの出席を通した相談や連絡。
入所先探しにおいては、見学や面談に足を運び、父の状況や希望を伝えて相談。部屋や入所日、費用をめぐる調整。
引っ越しにおいては、業者の選定、トランクルームの契約、捨てる荷物、運ぶ荷物の決定と連絡。
引っ越しに伴う役所への諸届。
このようなことに必ず伴うのが、諸手続き。
印鑑、通帳、身分を証明するもの、介護保険証、介護保険の負担割合を証明するもの、健康保険証などなど。
ところが、90歳の父には、こうした大切な書類等を管理する力はなく、印鑑はゴロゴロあってもどの通帳がどの印鑑なのかわからない。
5年前の書類はあっても、今のものがない。
当然、役所に行っても銀行に行っても、書類が不備で何度も足を運ぶことになり、スムーズに事は運ばない。
ということの連続でした。
もしもお子さんのいらっしゃらない90歳近い夫婦のどちらかが倒れたとして、その高齢のパートナーにこうした一連のことをこなせるとは考えにくいのではないでしょうか。
皆さんはどうしておられるのでしょう。
特に、退院という期限があるなかで、物事を進めていくには、体力、気力、そして経験がある程度必要だと思います。
介護における家族の役割とは、寄り添い、日常の世話をするだけではなく、生活のダウンサイジングをめぐる判断、そして周囲との調整や手続き等が含まれることを実感した体験でした。
特に女性の多くは、最晩年には一人暮らしになることが予測されています。
一戸建てから高齢者マンションへ、高齢者マンションからグループホーム等へ。
財産、荷物を処分し、生活の場を変えるという生活のダウンサイジングを、医療、福祉の場にまたがって支えてくれるのはケースワーカーさんや相談員さんということになるのでしょうか?
自分の場合はどうするのかを考えておかなければいけないと考えた体験でした。