ケアする人をケアする

介護・育児中のご家族、それを支える専門職、そんな「誰かをケアする人」のケアを考えます。

もしも自分が、高齢者ケア施設で最晩年の時を過ごすとしたら

今朝、市原悦子さん、梅原猛さん、お二人の訃報が飛び込んできました。

両親ともに高齢者ケア施設で暮らす今、自分自身の人生の最晩年についても考えるようになりました。

 

もしも自分が、高齢者ケア施設で人生の締めくくりの時を過ごすとしたら、どんな時間を紡ぎ、どんなケアを受けたいか・・。

きっと、食事、排泄、入浴、レクリエーションなど、施設のルーティンに添って過ごすことになるでしょう。

ただ、そうではあっても、スタッフの方には、他ならない「私」という存在に関心を向け続けてもらいたい。

 

うまく身体の状況を言葉で伝えられない、訴えられないこともあるでしょう。周囲のスタッフには、常に「苦痛があるのではないか」という視点で注意深く私を見つめてもらいたい。

そして、「歳だから仕方がない」というのではなく、ともかく苦痛に関しては、緩和してもらいたい。

 

これから年齢を重ね、さまざまな持病を抱えるかも知れません。ある程度の年齢まではは自分で管理できても、症状への対応や薬の細かな調整はできなくなってくるでしょう。

小さな変化に気づいて、迅速に対応できる力のあるスタッフにいて欲しい。

 

そして、何度説明を受けても、急にベッドから立ち上がって危険な行為を繰り返したり、外に出たがったり、入浴を拒んだり、大声を出したり・・。

スタッフを困らせるような、そんなことがあるかも知れません。

ただ、きっとその時々で、私には私なりの「そうせざるを得ない何か」がきっとあるようにも思います。

それを根気強く考えて欲しいと思うのです。

「私」という人間に関心を向けずに業務を優先するあまり、縛られるようなことがもしもあったとしたら、自分にはそれでもなお生きていく力があるかどうか自信がありません。

 

こんなことを考えていくと、高齢者ケア施設での看護職の存在の大きさに今更ながら思い当たりました。

一般病院に比べ、看護師の数が圧倒的に少ない高齢者ケア施設で、どう新人看護師を育てていくのかは、本当に重要なことですね。

 

そんな課題に応えているのがこちらの一冊

高齢者看護の実践能力を育てる 高齢者ケア施設の看護をベースにして

 

以前は、新卒看護師の就職先は「病院」が圧倒的でした。

しかし、病院のみならず、地域、高齢者ケア施設など、就職先の選択肢も増えてきています。

「高齢者ケア施設で働きたい」「高齢者の看護を極めたい」と考える新人看護師をいかに育てていくのか、それは、まさに自分自身の人生の締めくくりに直結する問題だと感じています。