ケアする人をケアする

介護・育児中のご家族、それを支える専門職、そんな「誰かをケアする人」のケアを考えます。

ナースの風景

もしも自分が、高齢者ケア施設で最晩年の時を過ごすとしたら

今朝、市原悦子さん、梅原猛さん、お二人の訃報が飛び込んできました。 両親ともに高齢者ケア施設で暮らす今、自分自身の人生の最晩年についても考えるようになりました。 もしも自分が、高齢者ケア施設で人生の締めくくりの時を過ごすとしたら、どんな時間…

相手の強い感情、言葉に怯みそうになるとき

調べもののために少し前の雑誌のページをめくっていたら、訪問看護師さんが書かれた記事に目がとまりました。 「あんたたちが来たってやっぱり何かあれば救急車よ」「看護師に何ができる?」「血圧を測って僕の何がわかるの」「お金かかるんでしょ」「俺のつ…

「家族看護」という言葉をご存知でしょうか?

「家族看護」という言葉をお聞きになったことがありますか? 「家族看護」とは、病気や障害とともに生きる当事者(患者さん)だけではなく、有形無形の影響を受けて支援を必要としているご家族を、「ご本人とともに丸ごとサポートしていきましょう」という考…

メッセンジャーナースをご存知でしょうか?

以前、乳がんを体験した友人が、主治医との関係にとても悩んでいました。 乳がんという診断に驚き、戸惑い、ただ、「温存できる」という医師の言葉に救われ受けた手術。 しかし術後、彼女は打ちのめされました。 ハーフサイズになってしまった不揃いな胸がど…

ダブルバインドをどう生きるか

昨日のブログ記事で、若いナースのコミュニケーション能力が低下したと認識されている背景、ダブルバインドについて書きました。 つまり、ナースが働く組織のなかでも、「仕事を効率化し、残業はしない」と指導される一方で、「患者さん・家族とはしっかりと…

若いナースのコミュニケーション能力は低下しているのだろうか?

ここ数年、ナースの教育担当者から、「若いナースのコミュニケーション能力が年々低くなっている」という声をよく耳にするようになりました。 まず今どきの若者は、患者さんや家族と当たり前の世間話をすることが難しく、何かにつけて今一歩の踏み込みが足ら…

看護師と医師との関係性

昨日、親戚のお見舞いに行ってきました。 患者さんは90歳。 10日前に誤嚥性肺炎で倒れ、救急搬送されたそうです。 1週間というもの、38度後半の熱が続き、酸素を吸入しつつ点滴やモニターにつながれる日々。 一時は、危険な状態と伝えられ、家族が病室に呼…

良いナースのひとつの条件

前回に引き続き、浜田晋先生のご著書から。 白内障の手術をしてくださった、まだ若い女医さんからこんなことを言われた。「ものがはっきり見えだしたといって、読書やご執筆をあまりやり過ぎないでください。レンズはしょせん"もの”にしかすぎませんから、水…

浜田晋先生の「忘れられない一人のナース」

浜田晋先生をご存知でしょうか? ご存命であれば、今年で92歳。残念ながら、8年前に他界されました。 1974年から東京の下町で精神科のクリニックを開業し、長年地域精神医療に尽力された方です。 先生のことを初めて知ったのは、私がまだ小さな農村で保健師…

「考える」ことから離れればやり甲斐や達成感からも遠ざかる

ここ数日、朝晩の冷え込みが厳しくなり、急に秋が深まってきました。 そして、老親の老いがさらに進み、実家通いの日々を過ごしています。 さてさて、「老い」といえば、「世界の小澤」と称されたマエストロ、小澤征爾さんも、御年83歳。 74歳で受けた食道の…

1枚のレポートが教えてくれたことー親が終末期を迎えた教育期の家族ケア、一般病棟での実践

ある急性期病院の消化器内科病棟に勤めるナースが書いてくれた一枚の事例のレポートに目が留まった。 事例を加工し、フィクションとして、まずはそのレポートの概略を紹介しよう。 山内由美さん(仮名)は48歳の女性。 1年前にすい臓がんと診断され、手術、…

過酷な現場、不機嫌なナース、にもかかわらずの希望

これは、脳梗塞で倒れた母が、急性期病院のある病棟に入院していたときの出来事である。 その病院は、ベッド数600床の地域の中核病院。市民が信頼を寄せる自治体立の病院であった。 病棟には、母と同様、脳卒中の発作を起こした患者が多く入院しており、人工…